猛禽類からの被害を回避する方法はただ一つしかありません。それは、舎外をしないことです。 舎外しなければ絶対に鳩を捕られることはありません。 こう書くと「舎外を開始した時に大きな被害にあうので舎外した時と変わらない」とか「春レース で使い物ならなくなる」との話が出てきますが、被害は確実に小さくなりますし、春レースでも 問題なく帰還(優・入賞)します。 ただし、この管理方法(無舎外管理)を行うには、前提の管理が必要になります。それは、夏から 秋に選手鳩の全鳩を一定距離以上の訓練を行っている事です。 夏から秋にかけて訓練を行っていない鳩は、2ヶ月(11月末〜12月初旬)の舎外ストップから 短期間での選手復活が厳しいようです。中には問題なく訓練をこなして春レースで活躍する鳩が いますが確率的には極端に少ないと思っています。 一定以上の距離とは、何キロか? 地区に寄って異なると思いますが、北広島(札幌地区)では、 虎杖浜:70kを2回だと考えています。それは、100kor200kor400kを飛んだ鳩と訓練 (虎杖浜:70k2回)の鳩と春レースでの帰還(優・入賞)率は、全く変わらないからです。 これは、2年間の検証で分かりました。 *猛禽類からの被害が無いので、秋レース終了時の選手鳩が減りません。帰還が厳しくな ったからこそ、多くの選手鳩を持つことが重要なのです。 |
2ヶ月の無舎外管理を寒冷地で行うと大きな問題があります。それは、運動不足による選手鳩の 肥満です。重たくなるのは致し方ないのですが、竜骨が下がり恥骨あたりに脂肪が着くと簡単に は選手復活できません。最高気温がマイナスの真冬日が続く地区では、エサの絞りすぎは春レー スを乗り切る体力(パワー)が不足してしまいます。 エサで脂肪(重さ)をコントロールするのが通常の考え方(管理)ですが、それ以上に重要な事 があります。 鳩が脂肪を付ける理由は、寒さから身を守る為です。寒いからエサを喰い込んで脂肪を付け、暖 かくなるとエサを控えて脂肪を落とします。寒いから脂肪を付けるなら「寒くしない事」が脂肪 を付けさせない事になります。12月中旬から1月末まで鳩舎を暖かくするのです。 昼は、窓を開けて新鮮な空気を吸わせますが、夜は窓を閉めてオイルヒーターを入れて鳩舎内を 暖めます。そうすると、30g/日のエサ(アッペン2割〜3割)で十分に足りるのです。 この管理でも、恥骨あたりに脂肪を付ける鳩は、寒冷地に向かないラインですので思い切って 切る事を勧めます。 *夜は必ず窓を閉めて、風が入らないようにします。また、日中であっても北風が強いとき は、窓を閉めます。 *無舎外管理で夜の鳩舎温度を上げているとカロリー消費の変化が有りませんので、基本 的にエサの量を変える必要は有りませんし、変えてはいけません。 *オイルヒーターは飲水器が凍らない程度に温度設定する(発情を考えて温度は低く設定)。 |
マイナス気温の時に舎外をすると、鳩舎に止まった鳩の吐く息が白くなります。人間でもそうです が、気温が低いときに走る(ジョギング)と喉が痛くなり、気管を痛めてしまいます。 人とは違うので問題ないと云う人もいますが、マイペースな舎外なら気にしなくて良いのかもし れませんが、猛禽類に追われて死ぬ気で飛ぶんだ時は、確実にダメージをおいます。 また、鳩のマイナス気温での飛翔はパフォーマンスが著しく落ちますので、猛禽類から逃げる事 が難しくなります。 *マイナス気温での舎外は、何一つ良い事が無いと思います。冬期の舎外ストップは鳩の体 にとっても良いことだと考えています。 |