オオジシギとは

オーストラリアの皆さんへの手紙

大沢口休養園地をこのまま残したい皆さんへ

北海道や江別市への要望書

1996年7月29日 公聴会

 

オオジシギを守ろう

森・草原・オオジシギ

 今、私たちの足元にある鳥たちの大切なすみかが環境の整備という人間の業によって奪われようとしています。私達「森・草原・オオジシギ」は人間と自然の共存を原点とし、失われつつあるオーストラリアからの渡り鳥「オオジシギ」の繁殖地を守る運動を始めました。  オオジシギは野幌森林公園休養園地区と呼ばれる野幌原始林大沢口の東側に広がる地域で夏の間繁殖し、ファミリーを作り秋になるとはるばるオーストラリアまで大移動をする「日豪渡り鳥協定」で保護の対象になっている鳥です。大きな声で鳴き、急降下するときは尾羽で風を切り大きな音を立てる事から「雷シギ」と異名をとっています。  昔、ズビーヤク ズビーヤク ザザザザ ゴゴゴゴゴーというやたらうるさい鳥の鳴き声を聞いたことが有りませんか?これはオオジシギの繁殖期だけのディスプレィで、北海道でなければ人里近くで聴く事は出来ません。最近は開発の影響で生息環境が悪化し, 徐々に姿を消しているのでなかなか聞けなくなりました。究めて人間の影響を受け易い鳥なのです。  繁殖地としては、世界中で北海道、本州(富士山麓の高原など局地的)のみです。

 野幌森林公園休養園地区と呼ばれる草原は、戦後、食料の供給地として開墾されて以来農地だった所ですが、昭和43年、道に買い上げられ道立自然公園に指定されてから今日まで、ほとんど人の手が入らずにきました。その事が幸いし、現在は草原性の野鳥をはじめ多様な野鳥の聖域となっています 森があり、林があり、草原があり、川があり、谷があり、湿地があり、そこに生息する野性がバランス良く調和し、安定した生態系の中で一つの世界を形づくっています。また森林地帯と住宅地との間にあって、緩衝地帯としての重要な役割をも担っています。そして、この草原には、モズ・ホオジロ・ホオアカ・ベニマシコ・マヒワ・アカハラ・ツグミ・マミチャジナイ・エゾセンニュウ・ビンズイ・ジョウビタキ・カワラヒワ・ノゴマ・イカル・ヨタカ・メジロ・カッコウ・ツツドリ・シメ・キジ・ウグイス・センダイムシクイ・ヤブサメ・トラツグミ・アオジ・ハヤブサ・ウソ・ハイタカ・オオタカ・ミヤマホオジロ・アオバト・キジバト・オオルリ・キビタキ・ニュウナイスズメ・エナガ・ゴイサギ・マガモ・キツツキ類、カラ類、等々、数え切れないほどの沢山の野鳥たちが見られ、フクロウのエサ場ともなっています。

 この様な素晴しい場所に、環境整備という名目で大きな駐車場やアスファルトで固められた広い道路、自然の植物の生えない広場、鳥たちの飛行を妨げる建築物等を作ろうとしています。この計画が実行されれば、オオジシギの繁殖地が破壊される恐れが多分にあります。  都市近郊にこの様な自然がある、という事の価値や意味を認識し、次の世代への貴重な財産として保護して欲しいと私たちは考えます。道民に利用してもらうとすれば、このままの自然を今ある道路をそのまま使って、鳥たちの迷惑にならない範囲で使わせて貰うという方法もあります。 ワイズ・ユース。ちゃんと考えて、本当に大切なものをしっかりと残してきたいのです。

          1996年6月

                          森・草原・オオジシギ 代表 五十嵐敏文

                    ご 挨 拶

 私たちは野幌森林公園休養園地と呼ばれる野幌原始林大沢口の近隣に住まいを持つ江別市の市民です。私たちがこの運動を始めたのは、私たちがこよなく愛する自然の中の生き物たち全てが今、危機にあっているからなのです。特にオーストラリアからはるばるやってくる渡り鳥、オオジシギの繁殖地が人間の手によって壊されようとしているからです。  整備計画を進めている道は、現地の調査もせず平成9年度から工事を始めようとしています。私たちの住む地域の自治会は、住民の合意もなく整備計画の要望書を道に提出しています。  この様な状況の中で私たちは、オオジシギを守るために、道に対し、

・ 整備計画予定地の一年間の生息調査の実施と調査結果の公表。

・ 調査が終わるまで、整備計画の凍結と整備予定地の特別保護地区への指定。 を要望します。

 自治会に対しては、

・ 道に対する整備計画要望書の撤回。

・ 道に対し一年間の生息調査の要望書の提出・整備予定地の特別保護地区への指定。 を求めます。

 江別市に対しては、「生息調査の実施と調査結果の公表・整備予定地の特別保護地区への指定」を道に対して要望することを働きかけていく予定です。  又、江別市内外に向け現状の報告と協力を求める情報を発信し、地元住民だけでなく、広く賛同者を募り、署名活動を通じて理解を深めて行きたいと考えています。

 「森・草原・オオジシギ」は、カンパで運営されます。会員になるには一切制限がありません。オオジシギの繁殖地を守ってあげたいという気持ちを持っている方ならどなたでも会員になれます。私たちは広く世界に向け情報を発信し多くの理解者を集めていきます。  是非、深くご理解を頂き、暖かいご協力を賜わりますようお願い申し上げます。 オオジシギが守られるまで続けます

                   森・草原・オオジシギ

                           事務局 011ー387ー5395