−−−−−−−
 環境広場99
−−−−−−−

〓飲み水の始めから終わりまで見学会〓
 去る6月16日に、私が住んでいる江別市の水道水がやって来る千歳川の始め
から、下水道の終わりまでを回るバスツアーに参加しました。これは19日と2
0日に行われた「江別環境広場'99 」の一貫として、エコタウンネットワークが
行ったイベントです。
  これに先だって、娘の朝美やその友達を連れて下見に同じコースを回りました
が、その日はカラ類の留鳥が簡単に見られたのに、その時から約1ヶ月も経った
ため、森の木々は緑の葉に満ちていて野鳥を観察しようにも見つかりませんでし
た。何といってもエゾハルゼミの声が大きく、「もう夏だなぁ」と実感。植物は
コンロンソウやツクバネソウが見られたほか、野鳥の姿はホオジロ,アオサギを
確認し、キビタキの声も時折聞かれました。
 まず、最初に千歳川の始まり、つまり支笏湖の水が流れ出る所で水質をしらべ
ました。この見学会には、北海道環境アドバイザーの酒井健司さんが指導して下
さいました。パックテストという道具を使って、水のpH(酸性,アルカリ性を
示す数値。7が中性、7より低いと酸性,高いとアルカリ性),COD(化学的
酸素要求量:水中の酸素を消費する物質たとえば汚れが多いと数値は高くな
る),りん酸(洗剤などが流れ込むと高い),陰イオン系界面活性剤(洗剤の一
種,水道水の基準は0.2ppm以下)を調べました。
 そのあと、バスは千歳市内の川に面した公園で昼食。そして酒井さんは、胴長
を履いて川の中へ入って行き、川に住む生物を捕まえてきました。ちょっとの間
に、石の下から現れたのはカワゲラ,トビケラ,ヘビトンボなどの水生昆虫や
魚。この川がいかにきれいであるかを示していました。事実、水の色も支笏湖と
変わらぬ無色透明でした。
 オオルリやキビタキの声を聞きつつ、次の地点へとバスは出発。途中、バスは
千歳川の流れに沿ってジグザグのコースを進みます。千歳市から恵庭市,長沼町
と進むにつれ、川幅はどんどんと広がり、最初の小さな川が大河となったのには
驚きました。それだけ、各地の中小河川や排水路から水が流れ込んでいることを
示しています。そして水田地帯を過ぎると水の色は一気に濁りました。
 南幌町と江別市の境にある江南橋で、バスを止めて水を採取。その水は濁った
緑色になっていて、これを江別市は飲料水にしているのかと思うとがっかりしま
した。
 そして一行は上江別浄水場に到着。場長さんの説明によると、ここで取り入れ
ている千歳川の水には、途中の泥炭土壌(昔湖があった頃に育ったヨシやミズゴ
ケなどの植物の遺体が腐らずにできた土)中に含まれる腐植質(高分子の褐色の
有機物:南幌や十勝川温泉の色はこの物質)が多いため、その除去に苦労してい
るとのこと。以前は、この有機物と塩素が反応してできるトリハロメタンが高く
て問題になったのは、新聞報道で皆さんもご存じでしょう。
 現在、この浄水場では日本でもここだけ?という活性炭による吸着と沈殿,消
石灰による中和という高度浄化施設を設置して解決しました。
 下流に住む江別市民の運命とも言えますが、江別市ではもう一つの水源として
恵庭市の漁(イザリ)川からパイプで水を買っています。もっと上流の千歳市あた
りからパイプで持ってくることも、現在取り組まれているようです。
 そのあと、私たちのバスは下水の出口へ。当初の予定では石狩川の川岸へ行く
つもりでしたが、突然の大雨に降られて下水浄化センターへ立ち寄ることに。ま
ったくの唐突なお願いにもかかわらず、浄化センターの場長さんはていねいに下
水処理の流れを説明してくれました。
  なんだか、小学校の社会見学みたいでしたが、水道水に対する市民の疑問が少
しでも行政に反映されるため、参加した皆さんも満足していたようです。
 来年も、このような行事を企画し、できるだけ多くの市民の皆さんと環境につ
いて考える機会を造っていきたいと思います。 

水質調査結果(パックテスト)
┌─────┬───┬───┬───┐
│   場所│支笏湖│千歳市│江南橋│
│項目   │   │   │   │
├─────┼───┼───┼───┤
│ pH  │7.5  │7.5  │7.4  │
│     │〜7.6 │   │〜7.5 │
├─────┼───┼───┼───┤
│ COD │ 0 │ 4 │ ? │
├─────┼───┼───┼───┤
│ りん酸 │ 0 │ 0 │0.2│
├─────┼───┼───┼───┤
│界面活性剤│ 0 │ 0 │ 0 │
├─────┼───┼───┼───┤
│水の色  │無色 │無色 │濁った│
│     │ 透明│ 透明│緑褐色│
└─────┴───┴───┴───┘